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苛立


妙にイライラする。
禁煙している訳でもないのにそれに似たイライラを感じている。
欲求不満ではないと言えば嘘になるが…一応自分で処理しているし、そもそも成人男性であるなら普通の行為である。と信じたい…
白から元の緑色に戻した髪をくしゃりと掻き揚げてデュエルはゲーセンの休憩所に座っていた。

「ちっ」
「何だよいきなり」
イライラが積もり積もって思わず舌打ちしてしまったのをたまたま来た士朗に聞かれてしまった。
悪い、別にお前さんのことじゃねえよ〜と右手をひらひらさせる。
「そうか。で、一体どうしたんだ?」
「なにが」
「珍しいじゃないか、お前がそんな風にぼーっとしてるなんて」
ぼーっとしてるように見えたのだろうか、苦笑しながらデュエルは現在の今の気分について話してやった。
すると士朗は怪訝な顔をした。
イライラしている割には落ち着いているように見えたぞと、こう言った。
「原因は判ってるんだよ」
その原因が判らない状態でのイラつきは、原因が判らない事へのイラつきもバリューセットで付いてくる。
もしデュエルのイラつきが原因も判らないようなものであれば、ベーコンエッグダブルバーガーくらいのボリュームのイライラだった。
「しかもソフトドリンクとポテトはLサイズだ」
「じゃあ今は?」
「う〜ん…」
普段から御世話になっているファーストフード店のメニューを思い出しながら思案すること数秒…
「チーズバーガーか?」
「惜しい、ダブルチーズバーガーだ」
ベーコンエッグダブルバー(以下略)とあまり変わらないような気がしたが、30円くらい違うと突っ込まれそうだったので言わずにお墓まで持っていくことにした。



「で、原因は」
「知りたいかね、士朗君」
「セム口調で喋るなよ」
「まあまあ…お、丁度いいところに。士朗あっち見てみ」
デュエルの指差す方向、右斜め前方には見慣れた少女の姿を確認した。


と。


「ツガルー!!!」
「きゃッ…シア!!」
その少女の名をエンジェルソプラノで呼びながら背後から何かが襲い掛かった。


「……あれか」
やや呆れ顔の士朗はデュエルに聞いたが当の本人はいたって真面目な表情である。
(コイツがこんな顔するのなんて見たことないな)
「そんなに気にすることでもないと思うが、それに二人は女の同士…」
「問題アリだろ」
即答された。
「女同士とかそういうのは関係ない。そうは思わないか?このご時世」
デュエルによれば寮と同室のシアとツガルはもうそれなりの所まで行っているらしい。
シアはツガルをひどく気に入っているようで、ツガルを独占しようとしているきらいがある。
どこに行くにも二人は一緒だし云々。
金髪で褐色というビーチで見かけるような開放的な外見に似合わず意外にガードが固いらしい。
ツガルに近づこうものなら笑顔で邪魔してくる。
この前なんか痕が残るほど抓られた。
哀しいことに2週間近く、触れることすら出来ていない。
流石はナイア…女王の遺伝子はばっちり妹君の方にも積まれていたのだ。
ああ、ツガルを抱きしめてあの林檎の香りを堪能したい。
むしろ食べてしまいたい。
「アイツは俺らがツガルに近づけないようにしてる」
「俺ら?」
「ダルマにニクス…それから孔雀」
ダルマは勿論、ニクスはちょっと気になるくらいのことは以前から知っていたが、まさか孔雀の名が出てくると思わなかった士朗はポカンとしていた。
「将を射んと欲せば…って言葉が日本にはあるだろ」
「馬を射よ…か、ってツガルは馬なのか!?」
「将ってのはナイアのことな」
「ナイア…将軍か…確かに」
二人はお互いに悪戯が成功したときの悪ガキの表情で、はははと笑っていた。


「誰が将軍かしら」


「ナイア!!!」
士朗はエンジェルテノール(?)で叫んだ。
なぜなら馬に乗っていない将軍様が降臨していたからだ。
「どこらへんから!!!?」
「問題アリってところからかしら」
パニクる士朗をさらりと流している姿は将軍というよりも魔性の…っと、危ない危ない。
「ところでデュエル、あなたアルアとツガルの関係のこと問題アリって言ってるけど」


「アンタたち二人の方がよっぽど問題アリじゃない?」


23歳と13歳。



どうみても犯罪です。本当にありがとうございました。


Fin

デュツガがやりたくてやっつけで書いた物です。
士朗も出してみました〜

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