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肩車



街で見かけた男の子は父親の肩車に乗って楽しそうに笑っていた。

私はその子の事を羨ましそうに見ていた……のかもしれない。
少なくとも彼にはそう写ったのだろうか。

「お前ってさ、肩車された事ないんだってな」
この人……デュエルさんはいつも唐突だ。
方言を教えている時だってそうだ。

「何で?」
「お嬢様だから……ですかね。多分…」
「ふーん」

お母様から聞いた話。
小さい頃、お父様が肩車をしようとした事が1度だけあった。
でも、周りの人が口々に『危ない』としつこく言ったので諦めてしまったそうだ。

「されたいと思うか?」

13歳にもなって肩車。
ちょっと気が引けてしまうけれど。
「まぁ……1度くらいは……」

たった1度でいい。
たった1度。
展望台やビルからじゃないあの特別な高さからの景色を見てみたい。

「じゃ、脚開け」
「はい?」
「いいから開け!!」

セクハラかと思った。
なぜならその開いた脚に頭を…。

「持ち上げるぞ。落ちるなよ?」
「は、はい!」
そう言うと彼は、ひょいっと私を持ち上げた。
一瞬、私の身体が浮くような感覚に陥る。
「うわ〜お前軽いなぁ、ちゃんと飯食ってんのか?」
「い、一応…」

………。

「どうだ?」
「わぁ…高い…ですね」
そこからの景色は想像以上に高くて……
とても良い眺めだった。

数 分 後

デュエルさんは私を乗せ識さんのゲームセンターへ行くと、入り口の手前で下ろしてくれた。
――もう少しだけ乗っていたかったなぁ。

「あ、有り難うございます////」
「またいつでもしてやるから、声掛けてくれよ」

また…?
いつでも…?

「本当ですか!?」
「おう」

私は嬉しくなって思わずデュエルさんに抱きついてしまった。
「おわッ! つ、ツガル!!!??」
「有り難うございます!」

また肩車に乗れる。

あの素敵な光景を見る事が出来る。

また私は乗る事が出来る。

優しい貴方の肩車に。


END


あとがき。
なんなのでしょうこの乙女ちっくな文は。
恐らくgardenの影響かと。
公式ではデュエルの事は苦手とありますが、方言教えてる内に何だかお互いに気になる存在に…?みたいな。
年の差10歳。ロリコ…(自主規制)

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