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waxing and wanding


「よぉ朱雀」
髪と同じ真白い歯を光らせて爽やかに笑う白虎は裸だった。
彼の部屋、布団から上半身だけ起こして右手をあげて、よぉ朱雀。
「……」
腰のあたりに布がかかっており、余計に想像力をかきたててしまう。
身長に比例してやはりアレも大きいのか、妄想が朱雀を襲う。
だがここで問題なのはそんなことではない。
白虎が素っ裸で何してようと別に知ったこっちゃないのだ。
問題は、

「何で青龍がこんな所にいるのよ!」

白虎の隣に、あの青龍がいたのだ。

全裸で。

しかし先程から「そんなこと」とか「こんな所」とか白虎の扱いが酷い気がしますよ朱雀さん。

話を元に戻そう。
白虎と青龍(男と女)が裸ですることと言えば…朱雀は顔を真っ赤にして叫んだ。
「は、破廉恥よーッ!!」
勢いよく障子を閉めるとバタバタと朱雀の逃げるように走り去る音が聞こえた。
「あーらら、行っちゃった」
「追わないのね」
「放っておいた方が面白そうだし」
ケラケラ笑う白虎をよそに、勢いよく閉められた反動で少し開いた障子の前に青龍は立った。
「行くのか?」
「あの子、何か誤解してるみたいだから」
静かに障子を開けて廊下に出ると、これまた静かに閉める。
影が先程の朱雀と同じ方向へ移動していくのが見えた。
「誤解って…そんな」









「…て、裸のまま行っちゃったよ!」
白虎の声が空しく部屋に響いた。



朱雀は一人混乱していた。
四天王の中で一番ああいうことに疎そうな青龍が……。
白虎も白虎で、彼女とは幼なじみという関係ではなかったのか?
確かに青龍は美人である。
あの部屋で綺麗な白いの身体を白虎の逞しい褐色の肢体が貪っていたのだろうか。

「何なのよ…あれ…」
でも普段は冷たい雰囲気の青龍…彼女の嬌声を想像した途端に落ち着いたはずの心が少し揺れた。
ドキドキする。
鼓動の音が煩い。

変だ。

青龍に助けられて以来、彼女を妙に意識してましまう。
前々からいけ好かないと思っていただけで、こんな風に意識したことなんて一度足りとも…

「朱雀…ちょっといいかしら?」
扉越しに声が聞こえた。
顔が急に熱くなるのを感じる。
「朱雀?」
「ちょっと勝手に…ってぇ、何で裸のままなのよっ!!」
「?」
ちくしょう、首なんか傾げちゃって一瞬ドキっとしてしまったではないか。
すると膝を抱えて座っている朱雀の前に青龍はしゃがみ込んだ。
髪のさらりという小さな音が聞こえる。
それほどに静かで、それほどに近い。
自分の心臓の音が相手に聞こえてしまいそうだ。
「顔が赤いけど、熱でもあるのかしら?」
表情こそいつもと変わらないが声色からは心配そうだということが伺える。
(あんたのせいよ!あああ、そんな風にされたら余計に…)
青龍の、朱雀の額に当てられた手がひんやりして気持ち良い。

そういえば…

何か重要なことを忘れている気がする。


あ。

「ね、ねぇ青龍」
「何かしら」
「白虎と…その…」
言葉に詰まる。
破廉恥極まりない単語を言うことは、自分のプライドが許してくれそうもない。
でも気になる。
でもでも言えない。

がくん。

「うわッ、ちょっと…?」
青龍が倒れた。
乱れた長い髪に隠れて表情が伺えない。
申し訳なさそうにそっと髪を掻き分けてみる。

「青龍?」

少し苦しそうな表情、汗もかいている。
睫が長くて綺麗だな。
……
それ所ではない。
朱雀はとりあえず自分の寝床へ青龍を運ぼうと思った。
長身の割に細身だったので朱雀でも少しの間なら持ち上げることは出来る。
指に彼女の肋骨が当たり、ちゃんと食べてるのか心配……首を横にぶんぶんと音が鳴らんばかりに振った。
おいおいおーい…私はいつからそんな事まで、とセルフツッコミ。
運び終わりようやく一息つこうとしたその矢先。
「すーざく」
白虎が心配になってやってきた。
いつまで経っても戻ってこないから、と。
「いきなり倒れて」
「あぁ、やっぱり」
やっぱりって何が。
一人だけ納得しているのが気に食わない朱雀は白虎に説明を要求する。
なるべく判りやすくと付け加えて。
「今夜は満月だろ?」

青龍の力は月の満ち欠けに左右されることを聞いたことがある。
新月の日は全くではないが本来の力が発揮出来ないらしい。
で、満月はその逆。
なのに…
「何で倒れるのよ?」
「いや…その…張り切り過ぎて疲れたんじゃないか?」
「何を?」




「えへへへ、内緒」
「殴るわよ」
「言えないねぇ」
「本当に殴っていいのね」


「ぅーん…煩い…」


「ほらほら…静かにしないと」
「う…仕方ないわね」


結局判らず仕舞いになってしまったとさ。



ちゃんちゃん♪

終わる。


あとがき
青龍と白虎の関係が謎になったままでスミマセン。
途中で面倒にn
いやいや。
最初の方だけ打ってて行き詰っていたのですが、サントラのお蔭でするする進みました!!
もちろんBGMは三人の曲でしたよ〜


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